なぜ QE + NequIP/Allegro + LAMMPS なのか(5分で全体像)¶
TL;DR(結論)¶
- QE(DFT)級の精度で作ったデータを使い、NequIP/Allegro(MLポテンシャル)を学習します。
- 学習したポテンシャルを LAMMPS で回すことで、大規模・長時間・多数条件のシミュレーションが現実的になります。
- これにより、「精度は欲しいが、DFT/AIMDでは統計が取れない」問題にアプローチできます。
想定読者(こんな方に刺さります)¶
- DFT/AIMDはできるが、粒界・界面・欠陥など“現実サイズ”で統計を取りたい材料/計算化学の研究者・PI
- QE/MLIP/LAMMPS の導入を検討しており、GPU構成・再現性・運用まで含めて意思決定したい技術責任者(研究所/情シス/購買)
従来の壁¶
1) DFT/AIMD(QE)は精度が高いが、重い¶
- 粒界・界面・欠陥が多い “現実に近い構造”
- 長時間が必要な拡散・緩和・希少イベント
- 温度や組成などの条件スイープ
こうしたテーマは スケール(原子数・時間・試行回数) が必要ですが、AIMDだけだと計算量が厳しくなりがちです。
2) 古典MD(LAMMPS)は速いが、ポテンシャルが課題¶
- 材料・条件が変わると再現が難しいことがある
- 界面や欠陥など局所環境が変化する問題で精度がネックになりやすい
新しいやり方:QE → NequIP/Allegro → LAMMPS¶
- QE(DFT)で参照データ(エネルギー・力・応力)を作る
- NequIP/Allegroで “その材料・その条件に合った” MLポテンシャルを学習
- LAMMPS で大規模・長時間・多数条件のMDを回す(必要ならGPU最適化)
できるようになること(例)¶
- 粒界/界面/欠陥を含む大きなモデルで、統計を取りながら挙動を見る
- 温度・応力・欠陥濃度などをスイープして「効く条件/壊れる条件」を探索する
- 拡散・緩和など “時間が必要な現象” を現実的な時間で追う
- 実験に近い条件に寄せた比較(複数条件の横並び評価)
注意点:MLポテンシャルの適用範囲と検証(品質保証)¶
MLポテンシャルは強力ですが、万能ではありません。「どこまで信用してよいか」を明確にし、検証してから使うのが前提です。
- 学習範囲外(out-of-distribution):未知の構造・化学状態に出ると誤差が増えることがあります
- 検証(validation):代表構造で DFT とエネルギー・力・構造が一致するか確認します
- 反復改善(追加DFT → 再学習):怪しい領域が出たらデータを追加し、保証範囲を広げます
この流れを 受け入れテスト として納品物に含め、研究室内で再現できる形にします。
相談・見積¶
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